第2回のコラムで取り上げたイタリアのピザ。その原型が生まれたといわれているエジプトが今回のテーマです。
砂漠にそびえるピラミッドで有名なエジプト。しかし、この国の食文化については、あまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか。エジプトにはモロヘイヤのスープや鳩料理など、さまざまなおいしい料理がありますが、その中でも国民食と呼ばれるほど人気を集めるB級グルメ「コシャリ」をご紹介します。
エジプトのB級グルメ・コシャリとは
コシャリとは、米やパスタ、レンズ豆やひよこ豆を混ぜたものに、スパイスをきかせたトマトソース、揚げ玉ねぎをトッピングした、ボリューム満点の料理です。その起源は、はるかインドで食べられていた「キチュリ」という料理だと言われています。一説によると、インドから聖地メッカ(現サウジアラビア)へ巡礼にやってきた人々が、豆と米を一緒に炊いたキチュリをアラビア半島に持ち込み、それがエジプトにまで伝わったのだとか。そこに、マカロニやトマトソースといったアレンジが加えられ、19世紀半ばにこのコシャリが誕生しました。現在でも、手軽に食べることのできるファーストフードとして、エジプトの人々に広く愛されています。
イタリアのピザはエジプトのパンがルーツ。一方、エジプト料理のコシャリには、パスタ、トマトソースといった、イタリアの食文化の影響を見ることができます。
コシャリの発祥地・エジプトってどんなところ?
アフリカ大陸の北東部に位置するエジプト。公用語はアラビア語で、約9900万人が暮らしています。この国のイメージとして、最初に思い浮かぶのはやはりピラミッドでしょうか。現在エジプトにあるピラミッドは100基ほどで、紀元前2650年頃から500年の間に作られたものが残っています。特に有名なのはギザの三大ピラミッドで、クフ王、カフラー王、メンカウラー王によって建造されたと言われています。
日本から9000km以上も離れたエジプトで食べられているお米は、実は日本由来のヤバニ米(ジャポニカ米)です。1917年、エジプト政府は国内の人口が増えていくことを見越して、米の生産を拡大しようと考え、エジプトで生産するのに適した米を探し始めました。世界各国から約250種を集め、検討した結果、エジプトの気候に合っていたのが日本由来のヤバニ米だったのだそう。その後品種改良が重ねられ、生産量も増えていき、今ではコシャリをはじめとするエジプト料理で、日本由来の米が使われています。
さて、エジプトの次は、アジアとヨーロッパを繋ぐ国・トルコへ向かいます。フランス料理、中国料理とともに、世界三大料理に数えられるトルコ料理をどうぞお楽しみに。
[Reference]
「しらべよう!世界の料理④ 西アジア アフリカ」青木ゆり子監修・著、こどもくらぶ編 ポプラ社
「世界の文化と衣食住 アフリカ」鈴木祐司監修 小峰書店
「世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理」沼野恭子編 東京外国語大学出版会
外務省 アフリカ各国トピックス「エジプト」(閲覧:2020年7月7日)
外務省 ちょっといい話・エピソード集「エジプトのお米は日本米!?」(閲覧:2020年7月7日)
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